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個人飲食店で小さなNO.1を取る差別化戦略

こんにちは!行政書士松森です。

飲食業界は新規参入者も多いですが、売上を上げれなかったり、一時的に売上があっても、安定して継続的に売上が上がらず閉店するお店も非常に多い業界です。

さらに、ライバルも非常に多く、似たようなメニューやサービスが多数存在します。こういった状況の中でも自店の商品やサービスをお客さんに見つけてもらえなければ、当然売上を上げることはできないでしょう。

しかし、ライバルとの差別化が明確にできれば、自店の商品、サービスに付加価値も自然と付き、大きな成果を出すことが可能になってきます。

今回は飲食店開業後に売上を上げ、継続的に安定した売上を出すために必要な「個人飲食店で小さなNO.1を取る差別化戦略」について解説します。

なぜ差別化は必要か?

差別化とは?

周りのライバルと比べ自店の「商品」「サービス」はここが優れているという部分を明確にして、自分だけのNO.1の場所を見つけること

差別化といっても、人によってさまざまな認識があると思いますが、この記事での「差別化」は上のように定義します。

差別化はなぜ必要なのか?それは、数あるライバルの商品、サービスに埋もれず、あなたのお店の存在を鋭く明確にお客様に認識してもらうためです。

先ほども言いました、飲食業界は、個人店から大手までライバルも非常に多い業界です。その分、たくさんの商品、サービスが世の中に溢れているのが飲食業です。このコラムを見ているあなたは飲食業という業界に参入しようと決めていると思います。

この記事をもとに、あなたが「差別化」を実現できれば、世の中にたくさんある商品、サービスの中から、自分の商品、サービスに興味を持ってもらい、お客様に来店していただくという流れを作ることができるようになります。

差別化する方法

では、数ある世の中の商品、サービスに埋もれないようにお客様に自店の「差別化」を伝えるにはどうしたらよいでしょう?

差別化をして存在を伝えるには「ライバルにない独自の売り」を見つける又は作るということです。

「独自の売り」を見つけ又は作ることでお客様に見つけてもらい認識されやすくなります。

「独自の売り」を見つける又は作る3つの視点

独自の売りを見つけ又は作るために必要な視点は3つです。

  1. 参入市場・顧客
  2. ライバル
  3. 自店の強味

差別化するには、客観的な視点が必要です。差別化するというのは奇抜なアイデアや思い付きでできるものではありません。開業希望者に話を聞くとアイデアや自分の好みをもとに起業しようとする人が多いと感じます。しかし、主観的視点だけでは差別化の効果は限定的になってしまいます。

そうならないためにも、この3つの視点から客観的に差別化していくことで、差別化効果をより発揮することができるようになります。

 

1.参入市場・顧客分析

自分の参入する市場とその市場顧客の分析は欠かせません。ビジネスは市場とその顧客のニーズに対して商品やサービスを提供していくものです。市場とは飲食業で言うなら業種と言ってよいでしょう。あなたが参入する業種の特性とそこのお客様、ライバルをまずはよく知ることから差別化をはじめる必要があります。

 
2.ライバルの分析

自分の参入する業態に対しライバルはどんな商品やサービスをどんな顧客に提供しているのか。

ライバルを分析することで、どんな商品が売れて、価格はどれほどなのか、ライバルの強味や弱みはどこかを知ることができます。

 
3.自店の強味

自店にはどのような強味があるのか?その強みを活用することで差別化をしていきます。自店やオーナー自分自身の強味を、些細なことでも見つけていくことが重要です。

上記の3つの視点で分析しながら客観的な事実をもとに「小さなNO.1を取る差別化」をしていきます。

差別化コンセプトを作る4ステップ

上記の3つの視点で分析した事実をもとに差別化を図るわけですが、「小さなNO.1を取る差別化」とは最終的には「小さなNO.1になる差別化されたコンセプト」を作ることに他なりません。

差別化コンセプトを構築することによってお客様にメニューやサービスにブレのない一貫性のあるお店との印象を与えることができるようになります。

それぞれのステップで要素を明確にして売上の上がる差別化をぜひ実現してください。

■ステップ1 自分の強味を明確にする

■ステップ2 市場規模とターゲットを明確にする

■ステップ3 ライバルの強味、弱みを明確にする

■ステップ4 差別化されたコンセプトを完成させる

ステップ1 自分の強みを明確にする

飲食業に限ったことではないのですが、ビジネスにおいて自分の強味を明確にすることは差別化するうえで非常に重要です。自分の強味を全面に打ち出すことで付加価値も自然と高まり成果も出やすくなるからです。強味をみつけるポイントは些細なことでもとにかく書き出してみることをおすすめします。

また、客観的な視点で強味を見つける方法として、職場の上司や同僚などに自分の良い点を直接聞く方法もあります。「お客さんと話すのが好きだよね!」「盛り付けが繊細で綺麗!」など自分では当たり前のことでも他人から見ると強味に見えることもあるからです。

【強味の例】

ラーメン一筋10年の経験がある、独自の仕入れルートがある、マネジメント力が高い、調理技術が高い、接客力が高い、コスト管理が得意、ブランド力がある・・・・。

ステップ2 市場規模とターゲットを明確にする

■売れる市場を選択する

差別化コンセプトを作るための次のスッテプは売れる市場を決めることです。市場とは「一定の優良顧客が存在する場所」です。飲食なら市場=業種と思って構いません。

市場の例:居酒屋、ラーメン、イタリアン、寿司、焼肉・・・・・

差別化をする上で市場の選択を間違えると売上が上がらなくなってしまいます。

売れる市場とは「自店に来店してくれるお客様の数が多い市場」です。

簡単に言えば、ラーメン、居酒屋、焼肉、寿司など日本人に馴染みのある習慣化されて何度でも食べたくなる料理を扱っている市場では顧客の絶対数が多くなります。

逆に、どことも知れない、馴染みのない国の料理を提供するという市場を選択した場合、その料理を食べる習慣がないので顧客の絶対数はかなり少ないと予想できます。

習慣化されていない市場は、珍しさで一時のブームを作ることはできても、リピートしにくいので安定するにはそれなりの時間と投資が必要になります。

資金力に余裕がある大手なら挑戦する価値はありますが、資金力が限られていて、はじめて個人開業する方は、まず、市場規模の大きな「売れる市場」の中で差別化NO1を目指す方が得策です。

 
■売れる市場であるかの見分け方

1.ライバルの数が多い

2.顧客のニーズが高い

【ライバルが多い】

ライバルが多いということは、その市場のニーズが高く、多くの顧客がいることを意味しています。逆に、ライバルのいない市場というのは一見よさそうですが、ニーズが少なく顧客の少ない市場である可能性大です。まずは、自分の選ぶ市場にライバルが存在するのか確かめ「ニーズの高い多くの顧客が見込める市場」であるか見極めてください。

ライバルの探し方としては、自分が選んだ市場と出店予定地をGoogleやYahoo!で検索します。例えば、自分が「カフェ」という市場を選んで、出店場所を「横浜」と考えた場合、「カフェ」「横浜」で検索をしてライバルになりそうなお店を探します。

【顧客のニーズが高い】

食は人間が生きていくうえで欠かせないものであり、朝昼晩とその時間帯にあった食事を小さな頃から食べています。食というのは習慣化されていて、毎日ある程度決められたメニューを繰り返し食べているものです。これまで毎日、違うメニューを食べてきたという人はほぼいないでしょう。

例えば喫茶店の市場を見るとモーニングメニューとしてトーストとゆで卵という極めてシンプルな商品に人気があります。これは朝の習慣として子供の頃から朝食でトーストとゆで卵を繰り返し食べてきた習慣と大いに関係があります。このように、小さな頃からある程度決まったメニューを繰り返し食べて慣れ浸しんだ商品を扱う市場は顧客のニーズが高くなります。

また、帰り道に「さっと一杯飲んで帰りたい」などのように大人になってからのニーズもあります。どちらにせよ「習慣」と「顧客のニーズの大小」は密接な関係にあります。

反対に、習慣がなく慣れ浸しんだことのないメニューを扱う市場はニーズが低くなります。

ニーズの高い市場であるかどうかの判断基準は、習慣化されていて繰り返し食べたくなる商品を扱っている市場であるかどうかで決めます。

 
■ターゲットを明確にする

市場=業種が決まったらその中でターゲットを明確にしていきます。しかし、そもそもなぜターゲットを明確にする必要があるのでしょう?

お店のターゲットを明確にしないで、万人受けするお店を目指すと、どんな特徴のあるお店なのか伝わりずらくなります。そのため、数あるライバルの商品、サービスに埋もれて、あなたのお店の存在を鋭く明確にお客様に認識してもらうことはできません。結果、集客が弱く売上が上がらなくなってしまいます。

例えば、業界は違いますが私を例に見てみます。私の場合は融資の専門家です。だだ、融資の専門家と名乗ってもたくさんいる融資の専門家の中に埋もれて存在が認識されることがありません。

しかし、「業界で実績のある飲食に強い融資専門家」となるとどうでしょう?「融資の専門家」と「業界で実績のある飲食に強い融資専門家」。

今、このコラムを見てくれているあなたならどちらに興味を持ちますか?もちろん、後者です。

私の場合、「開業後の集客に不安のある個人飲食店開業希望者」という明確なターゲット像を持つことで、それに適したサービスを提供し、私の存在やメッセージを鋭く明確にターゲットへ伝えることができるようになります。

飲食店でも同じです。数あるライバル店の中からあなたの存在を認識してもらうにはターゲットを明確にし、その人が好むメニュー、雰囲気、サービスを提供してお客様に刺さるメッセージを発信できるお店になることが重要です。

ちまたでは、効果的な販促方法とかホームページ、インターネット、SNS、WEB集客の方法などたくさんの情報があふれています。しかし、差別化が出来きず、お客様に刺さるメッセージを発信できなければ、リアルであろうとWEBであろうと集客効果は限定的になります。

開業後「差別化」が出来てないまま、うまくいかず、目先の集客方法に手を出す人もいます。しかし、順番が違います。まずは差別化が先です。差別化ができて、はじめて、リアル集客、Web集客、看板商品、サービスの効果を最大限発揮できるようになります。

まずは、しっかり、差別化することに意識を向けましょう。

 
■ターゲットを明確にする方法

ターゲットを明確にする方法として、市場(業種)にいるお客様を何らかの基準で細分化していく方法があります。市場にいるお客様を細分化するためには何らかの基準が必要になってくるのですが、分かりやすい基準として3つあげます。

1、性別

2、年齢

3、職業、年収

例を出してみます。

牛丼の市場を見てみます。牛丼と言えばあなたはどこのお店を思い浮かべますか?わたしは、「吉野家」を思い浮かべます。

では、吉野家は牛丼市場にいるお客様を細分化したとき、どのお客様をターゲットにしているかというと、中年の忙しい男性サラリーマンをターゲットにしています。

一方、ゼンショウホールディングスの「すき家」ですが、こちらの細分化した市場は、女性、ファミリー層をターゲットにしています。

このように、牛丼市場で「すき家」は「吉野家」とは違う細分化された市場で勝負することで差別化をしているのです。

【市場細分化のメリット】

市場にいるお客様を細分化することで、自店のメニュー、サービスの方向性が明確になり、お客様に刺さる店のメッセージを発信できるようになります。結果、お店をお客様に認識してもらいやすくなり集客効果が高まるメリットがあります。

 

■自分がNO1になれる細分化された市場を見つける

市場にいるお客様を細分化したら、自分がNO1になれる市場を決めます。その時大事なのが、先ほどの自分の強味を活かせる市場を選ぶことです。

あなたが女性受けする料理が得意だとしたら、その女性は何歳で、年収はどれくらいなのか?と細分化して市場にいるお客様を特定していきます。

また、ライバルのお客様と同じになっていた場合、年収や年齢をずらせないか?など検討していきます。こうすることにより、徐々にあなたのお店のターゲットが明確になってきます。

ステップ3 ライバルの強み、弱みを明確にする

自分の見つけた市場、ターゲットを明確にしたら、その市場でのライバルの強味、弱みを明確にします。

ライバルの強味を明確にする理由は、ライバルの強味と違う部分で差別化するためです。

ライバルの弱みを明確にする理由は、ライバルが弱みとしている部分で自分の強味を活かすことができれば売上につなげることができるからです。

どんなに強いライバルにも必ず弱点は存在します。次の点を意識しながらライバルの弱点を探してみてください。

・ライバルのターゲットは誰か?

・ライバルのメッセージ(コンセプト)

・ライバルのメニュー構成、内容、価格

・ライバルのお客様の評価(食べログやライバル店に行ったことのある知人の評価など)

ステップ4 差別化されたコンセプトを完成させる

スッテプ1~3までの内容を吟味して差別化コンセプトを完成させます。差別化コンセプトを作成しやすくする方法として6W2Hというものがあります。6W2Hとは

⑴ Who 誰が お店の組織(個人・会社) スタッフ
⑵ Whom 誰に(ターゲット) ターゲット
⑶ When いつ 営業時間
⑷ Where どこで 立地
⑸ What なにを 提供商品
⑹ Why なぜ 経営理念・開業動機・将来像
⑺ How to どのように 業態・ポジション・差別化
⑻ How much どれくらいで 価格・客単価

以上の項目を埋めていくことで差別化コンセプトの骨組みができあがります。

■6W2H記入例

⑴ Who 誰が

焼肉歴10年の自分が個人事業主として

(店長と社員アルバイト5人体制)

⑵ Whom 誰に(ターゲット)

○○に住む40代男性会社社長役員クラス

昼はターゲットの主婦や地域に住む年輩の方

⑶ When いつ

営業時間 ランチ    : 11時~15時

ディナー  : 18時~24時

⑷ Where どこで

私鉄の駅から歩いて5分

駅と高級住住宅街へ続く道の途中あたり

⑸ What なにを 素材が優れた黒毛和牛を提供
⑹ Why なぜ

幼い頃から住んでいる地元で、本物の焼肉と最高のおもてなしでお客さんに喜んでもらいたい

また、スタッフもからも愛される地域一番店を作りたい

⑺ How to どのように

25坪30席 値段は高めだが黒毛和牛にこだわる

板前さんがいる高級和食店のような雰囲気だが、女将さんがおもてなすようなアットホームな接客で温かみのある焼肉店

⑻ How much どれくらいで

ランチ   : 単価 2,000円

ディナー  : 単価 6,500円

最後にそれぞれの項目を検討して整理したら差別化コンセプトを以下のようにまとめます。

■差別化コンセプト例

立地

・東京近郊、家賃を低めにするため私鉄の駅から歩いて5分ぐらいの大通りから離れた場所

・駅と高級住宅街を結ぶ道沿いに出店

ターゲット層

メインターゲット : ○○に住む40代男性社長、役員クラス

サブターゲット  : ターゲットの主婦や地域に住む年輩の方

利用動機 接待やゴルフの帰り、会社の食事会、誕生日などの記念日で家族と食事
業種 高級焼肉
提供商品

・素材が優れた黒毛和牛を提供

・産地にはこだわらず、オーナー自ら横浜市場に出向き、その日一番良いものを仕入れて提供

価格帯

ソフトドリンク:500円~700円 アルコール:600円~900円

肉:1100円~3500円 ホルモン:800円~1200円

前菜:550円~800円

食事:900円~1400円  ランチ:1500円~3000円

業態

・25坪30席 値段は高めだが黒毛和牛にこだわる

・カウンター席を設けて席数を増やす

・板前さんがいる高級寿司店のように和の雰囲気

・カウンター越しに肉のカットや調理風景が目の前で見えるライブ感あふれるキッチン

・オープンキッチンで人件費を抑える

・カウンター越しにスタッフとお客さんが会話をすることができ、肉の話やちょっとしたプライベートな話もできるアットホームな感じがあるお店

・接待など個を重視するお客さん向けに個室も完備

・高級店なので単価UPが期待できる

営業時間

ランチ    : 11時~15時

ディナー  : 18時~24時

まとめ

 

今回は、飲食店開業後に売上を上げ、継続的に安定した売上を出すために必要な「飲食店で小さなNO.1を取る差別化戦略」について解説しました。

差別化を実現することで売上を上げていくことができます。なぜなら、お客様に自店のメニュー、サービスを見つけてもらい、選んでもらい、来店していただく流れを作ることができるからです。たくさんライバルがいる市場の中でも「この店は違う!」と感じてもらうことができます。

差別化が実現できれば、店前看板などでのリアル集客、ホームページなどのWeb集客、SNS集客、看板商品、サービスなど、さまざまな場所で差別化の効果を最大限引き出すことが可能となり売上アップへ繋げることができます。

松森法務事務所では、差別化コンセプトを取りいれた事業計画書を「差別化事業計画書」と呼んでいます。差別化は融資の成否にも関わる重要項目です。

また、「差別化事業計画書」はだだ融資が成功するための事業計画ではなく、開業後売上アップへ繋げていく計画書とも言えます。

今回解説した内容を確認して、ぜひ自分がNO1になれる差別化コンセプトを作ってください。

ご参考になれば幸いです。