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これから開業準備をする方から質問を受ける中で多いのが、
「開業準備で始めにやるべきことはなんですか?」という質問です。
美味しい料理を作ることですよね?
良い立地・物件を探すことですよね?
事業計画書でしょ?
ホームページは作るのは必須、インスタグラムもやらなきゃ。
とまぁ、やるべきことはたくさんあります。ですが、これらのことをはじめて開業するためのマーケティングだと思っている人も多いです。
これらを最初にしなければいけないと思っている人が多いです。
しかし、もしあなたがはじめて飲食店で独立開業するのであれば最初にやるべきことは
ポジショニング
これに尽きます。
美味しい料理、良い物件、事業計画、ホームページ、インスタグラム・・・
これらはすべてポジションが固まってからやるべきことです。
さらに、「確実に稼げる方法」とか「最新の集客術」など小手先のテクニックに最初に手を出すのは愚の骨頂。
飲食店で開業する際に最初にやるべきことはポジショニングです。
成果を上げるには、正しいやり方を正しい順番でやることが不可欠です。
飲食店で開業する際に最初にやるべきことはポジショニングと言いました。では、ポジショニングとはなんでしょう?
ポジショニングとは、自分があるカテゴリーでNO.1の地位を築いて、競争優位性のある立ち位置を取ることを言います。簡単に言うと差別化することです。独自のポジションでライバルとの競争もなく、価格競争に巻き込まれず、戦わずして勝つ戦略です。
差別化についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
ポジショニングについて事例を挙げてみます。まず、牛丼と言えば「吉野家」をイメージする方も多いと思います。しかし、驚く方もいらっしゃると思いますが、売り上げを見てみると、「すきや」の方が圧倒的に売上が高くなっています。
この2社のポジションの取り方を見ていきます。ここで考えて頂きたいことがあります。吉野家の顧客ターゲットは誰でしょうか?
それは男性客メインで「サラリーマン」ではないでしょうか。吉野家は牛丼を通して「早い」、「安い」、「旨い」という価値を提供しています。それが忙しい男性サラリーマンの価値と合っているわけです。そのため、内装も凝っているというよりは入りやすいとかカウンターで回転率を上げる店づくりになっています。
一方、すき家の顧客ターゲットは誰でしょう?
実は、すき家は「ファミリー層」や「女性」をターゲットにしています。すきやのテレビCMはお父さんは○○丼、お母さんは○○丼、子供は○○のようにファミリーで食事することを訴求していますよね。店の作りも、机が置いてあったりファミリー層が入りやすい作りなっています。
このように、「すき家」はターゲットを変えることによって競争優位性のある立ち位置を取ったと言えます。これはまさに、ポジショニング戦略で吉野家を抜いた事例です。
次にビール業界をみてみます。
ビールと言えば「スパードライ」と「ラガー」の話があります。
今ではさまざまなビールが出ていますが、ひと昔前、大衆が持っていたビールのイメージは「重くて苦い」というものでした。
ところが、時代の流れは変わり、80年代ごろに酎ハイブームが起きます。それまでの重い感覚から軽いライトな感覚に市場のニーズが広まっていました。背景には女性の社会進出が進み女性がアルコールを飲むという時流の変化がありました。
そんな中、アサヒビールは今までの重くて苦いというイメージとは違う「コク」と「キレ」という新しい味の切り口の酎ハイを販売しました。それにより、シェアも少しづつ上がりました。
そこで、その経験を活かしてこれまでの重くて苦いイメージと違う「ライトなビール」を開発します。それがスーパードライです。今までの「重くて苦い」というイメージを「ドライ=辛口」という切り口で提供したのです。
発売当初は絶対売れないと同業からは見られていました。しかし、時流の流れはライトな市場ニーズが確実に広まっていたため爆発的にヒットして市場シェアを逆転していきます。
これは「味」について新しいポジションを取っていった事例といえます。
もう一つ、ハンバーガー業界です。
ハンバーガーと言えば「マクドナルド」と「モスバーガー」がありますね。
マクドナルドの場合はお手頃価格、スピーディー、お手軽感などが選ばれる基準(理由)になります。
一方、モスバーガーは、厳選された素材、美味しさ、高級感、健康などが選ばれる基準になります。
モスバーガーはマクドナルドとは対極的な独自のポジションをとることにより一定層の顧客の心を上手くつかんでいます。これも、ポジショニング戦略の事例といえるでしょう。
ポジショニング戦略はビジネスの本質なので、業界が違っても通用する戦略です。ちょっと飲食業とは違いますがクレジットカードの事例もみてみます。
クレジットカードと言えば
VISEとアメックスがあります。同じクレジットですがターゲット層を変えています。
VISEは年会費も安く、扱っている店舗も多いので、「お手軽」、「便利」が選ばれる理由になります。
一方、アメックスは年会費も高額なうえ、ひと昔前までは高級な店舗など限られたお店でしか扱っていませんでした。そのため、VISEより使いづらい面もあります。しかし、会員へのビップ待遇や高級感など「ステイタス」を求める顧客には喜ばれるサービスを提供して会員の心を掴んでいます。
VISEは庶民的で会員数も多いですが、アメックスは「ステイタス」を求めるターゲット層に的を絞り込み、クレジット業界で確固たるポジションを築いています。
これまでのお話でポジショニングの重要さを少しでもご理解いただけたかと思います。
そこで、はじめて開業する方が差別化戦略を立てるときにポイントとなる3つの視点についてお話します。この差別化については融資の審査でも重要視される箇所ですので参考にしてください。
顧客がお店を選ぶ基準には3つの視点があります。
①価格と利便性
②商品のクオリティー
③親密性
この中で顧客がどれを重視するか?によって顧客ターゲットも3つの属性に分けられることになります。
例えば、先ほどお話したマクドナルドとモスバーガーの例を見てみると、
マクドナルドのターゲット顧客は価格や手軽さを重視する人です。つまり、上の①の属性に入ります。
価格が安ければある程度の品質でも満足する価値観があります。ある程度の品質と言っても悪いという意味ではありません。安くても悪い商品はそもそも売れませんから。こだわりの商品との対比表現として表しています。
①の属性にある顧客をターゲットにした場合、安さ、利便性を実現する必要がります。このビズネスモデルは、大量仕入やスピードを実現する高度なオペレーション構築が必要です。これは大手企業が得意とする戦略です。
次に、モスバーガーの顧客ターゲットは、厳選された素材、美味しさ、高級感、健康を重視する人達です。価格が高くても商品の品質や性能を第一に考える価値観を持っています。上の②の属性に入る人達です。
②の属性にある顧客をターゲットにした場合、専門性、高い調理技術、高級素材などを売りにしたビジネスモデルが向いています。これは、個店がとる戦略に向いているといえます。
③の親密性ですが、これは自分の要求を満たしてくれることを第一に考える価値観を持っている人達です。融通のきくお店や自分の要望に応えてくれるお店などです。
このモデルを使った例として、自分の好きなアイスをカスタマイズできるアイス業界大手のサーティワン、業界は違いますがオーダーメイド住宅、特注品を作ってくれるお店、街の商店街の八百屋さん等がこれにあたります。
このポジションは大手、個人でもどちらでも狙える戦略です。
ポジショニングについてみてきましたがまとめてみたいと思います。
①の価格と利便性に関するポジションは個人がやることも不可能ではないです。例えば特定農家と専売契約して安く材料を仕入れることが出来る場合などです。ただし、気を付けて欲しいのは、このポジションは価格競争に陥りやすいということです。
そもそも、①の属性の人は安さや利便性を重視していますので高単価にするには不向きなポジションです。つまり、薄利多売で勝てる見込みがあれば良いのです。しかし、はじめて個人で開業する方には、低価格、利便性を可能にする高度なオペレーションを構築する資金や技術はよほどの資金がない限り不可能です。
このようなことから、はじめての開業で取るべきポジショニング戦略に向いているのは、②、③ということになります。
②商品のクオリティー、③親密性、それぞれどちらかのポジションにずば抜けて特化してもよいですし、両方を組み合わせたポジションも可能です。
これから開業する方は業態は決まっている方も多いと思います。その業態でどの戦略をとるのか一度考えてみてください。また、あなたにとって競合になりそうなお店はどの戦略をとっていますか?ターゲットは誰ですか?売りはなんですか?
ターゲットが決まれば、そのターゲットはどこにいるのか?つまり立地も決まってきます。そして、そのターゲットはどんな動機であなたのお店を使い、どんな雰囲気がすきなのか?ターゲットの好みで内装も商品も価格も決まってきます。
というように、ポジションが決まれば立地、内装、価格、商品も決まってくるのです。
開業準備ではじめにやることは、立地、内装、商品、ホームページではありません。それはポジションを決めてからやることです。
飲食は開業はできてもポジションが甘いがために、3年で7割のお店が潰れるくらい廃業率も高いのです。ですから、開業前に大変ではありますが、あなたがNO1になれるポジションを見つけ是非繁盛店を目指してください。